事業承継を考えている場合や、事業承継の疑問がある場合には誰に相談したらよいでしょうか。

事業承継の相談先

事業承継を相談する相手としては、大きく分けると4つのグループがあります。それぞれ得意とする分野が異なっているため、どのような会社や個人事業主として事業承継を考えているのか、承継の手続きのうち何を相談したいのかによって、相談に最適な相手方は変わります。もっとも事業承継では、相談先から様々な機関や専門家が連携して対応することが一般的なので、まずは、普段から経営や相続について相談している、身近な相手に相談してみることが大切です。

国の支援機関に相談する

国の支援制度の利用を考えている場合は、国の支援機関へ相談することが考えられます。国の制度を利用する場合は、どのような制度や仕組みがあるのか経営者自ら調べてから相談することが大切です。
  • よろず支援拠点:国が都道府県に設置している中小企業の経営全般の相談所です。適切な機関や専門家の紹介、それらの連携を支援しています。
  • 中小企業活性化協議会国が都道府県に設置して、商工会議所等が運営している機関です。経営状況が悪化しているが再生の可能性がある中小企業に対して、専門家による事業再生の支援を行っています。
  • 事業承継・引継ぎ支援センター国が都道府県に設置している事業承継の相談所です。中小企業の事業承継の支援、経営者と創業希望者の仲介を行っています。

地域の支援機関に相談する

地域に密着した事業を行っている中小企業の場合は、地域経済や地域振興に詳しい地域の支援機関へ相談することが考えられます。
  • 地方公共団体地域振興策の一環として事業承継についての相談や専門家と連携した支援を行っている場合があります。
  • 商工会、商工会議所地域の事業者が会員となって組織される互助組織です。町村には商工会、市・特別区には商工会議所が設置されています。事業者の経営改善や地域振興をはかる活動を行っています。
  • 金融機関経営や事業承継の相談、専門家と連携した支援、資金需要への対応を行っています。メガバンクの場合は大企業、地方銀行の場合は中小企業を中心に事業承継の支援を行っています。

民間事業者に相談する

民間事業者は主にM&Aにおける事業者のマッチングや仲介交渉を行っています。マッチングを専門的に行っているため、広い選択肢から買い手を探すことができます。民間事業者には、売り手と買い手双方の立場で仲介を行う仲介会社、一方の立場で相手方と仲介を行うことが多いファイナンシャルアドバイザー、その他、マッチングの支援を中心にしたサービスを提供するM&Aプラットフォームがあります。仲介会社には売り手と買い手双方の利益になるように条件のすり合わせを行えるメリットがありますが、ファイナンシャルアドバイザーには自社に有利な要求を最大限に主張してもらえるメリットがあります。

専門家に相談する

事業承継を進めるにあたり、専門家の支援は欠かせません。どのような専門家に相談するかは、事業承継の段階や必要な手続きに応じて異なりますが、各専門家は他の専門家とも連携して支援にあたるため、まずは、身近な専門家に相談してみることが大切です。専門家によって事業承継への取り組み方や専門性の程度には差があるため、積極的に事業承継を取り扱っている専門家を選ぶことも大切です。
  • 税理士税理士は、税務や資金調達に関わる相談や株式価値の算定などを行っています。
  • 公認会計士公認会計士は、財務の相談や事業価値の算定、デュー・ディリジェンスなどを行っています。
  • 弁護士弁護士は、株主・相続対策の相談や債権者・取引先との交渉などを行っています。
  • 司法書士司法書士は、不動産、役員などの登記や書面の作成などを行っています。
  • 行政書士行政書士は、相続の相談や書面の作成、許認可の支援などを行っています。
  • 中小企業診断士中小企業診断士は、中小企業の経営や事業承継の相談を行っています。

まとめ

事業承継の相談を行っている機関や専門家は様々ありますが、事業承継はそのような機関や専門家が連携して対応することになるため、まずは、事業承継について考えていることや疑問に思っていることを身近な相手に相談してみることが大切です。当事務所では、事業承継の相談や他の専門家との連携など、事業承継のお手伝いを行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。